朗読についての情報

志賀玲太さんに朗読していただきました

News欄には10月7日に更新されていますが、志賀玲太さんに短歌連作「戯れに花」を朗読していただきました! 志賀さんのTwitterアカウントにあげていただいたときは驚きと嬉しさでいっぱいになりました。もうお聴きいただいた方も、ぜひまたこちらから聴いてください。本当にいい声ですので……。改めて志賀さん、本当にありがとうございました!

「戯れに花」のテキストをこちらに載せておきます。縦書き表記はぜひ『悪友』でご確認ください。

戯れに花

こんな日に会う約束を 信号の点滅がやたらゆっくり見える

星散らすような音する自転車に追い抜かれたら見る街明かり

雪の染みた靴から君が伸びている そんな顔で笑うやつがあるか

神さまのことをとつぜん語るときシャツのボタンの糸がほどける

夕陽ならここで光ってみせるだろう風を追いつつ橋わたるとき

ユーリンチーって鳴き声みたい ふたりして新種の生命体になろうよ

すれ違う語彙のくぐもりうつくしく横断歩道でついに振り向く

結末がまぬけな映画を教え合いたまに噓すら喋ってみせる

とくとくと月光つきかげ掬い取るように君はしずかに手をとりにくる

ゆるせなくていいよ、このまま区境くざかいを越える僕らの傍らに雪

分かりやすい祝福なんて 手袋の内側の縫い目気になっている

戯れに花を買ったらへんてこな花言葉ばっか言ってくるやつ

月からは見えない石階いしばしにふたり 友を打つため花束はある

初谷むいさんに朗読していただきました

このたび、歌人の初谷むいさんに、拙著『悪友』にある短歌連作「短い脚立」を朗読していただきました! Twitterに公開されました。こちらです!

以前から初谷さんの朗読は聴いていて、初谷さんの歌によく合う素敵なお声だなぁと思っていましたが、自分の作品を読んでいただいたときにはこうなるんだ! と更なる発見がありました。人の声で再生していただけるって最高ですね……。ぜひ皆さんも何度も聴いてください。

短い脚立

ふっつりと椿の花が落ちるような眠気に街は敷きつめられて

飲みかけのペットボトルをぎりぎりの手すりに置いて見る着信は

合鍵を渡した意味がまるでなくおにぎりのようにきみが待ってた

転生は思ったよりもたいへん、と猫背のきみに教えてもらう

靴紐を結ぶつむじを押してみる なんでもないのが今は正解

僕たちはよっぽど恋人だったよね マフラーで受けてゆくこごめ雪

禁煙を何度も成功するように繋ぎ続けた指だったのか

洗濯機のネットのごみをときどきは捨てなね ななめにきみはうなずく

若白髪みつけて黙っていたことも老いゆく日々のなかの点描

きみはきみの速度で笑っていて きっと出汁のとり方とか変わるけど

レジまでは担ぐよきみが灯のもとで生きてくための短い脚立

お二人の追加情報

お二人とも、本当にありがとうございます。お二人の今後の作品や、声を使ったお仕事がもっともっと拝見できたらいち読者・視聴者として嬉しいです。

志賀玲太さん
Twitterアカウント:@Petzvaled
お仕事のお問い合わせ:http://portal.quizknock.com/contact

初谷むいさん
Twitterアカウント:@h_amui
お仕事のお問い合わせ:hmhmui@gmail.com

朗読や引用について

榊原紘の作品を朗読してくださったり、絵をつけてくださったり、何かのファンアートの一環に組み込んでいただけることはたいへん嬉しく思います。そのさいは、正しい表記で引用の上(絵など、余白の関係上改行される場合は、正しいテキストを概要欄など分かる場所に書いていただきたいです!)、作者名(「榊原紘」)を併記してください。また、歌集全編の引用・朗読等はお控えください。10首選くらいの長さでしたら大歓迎です。

重版をいただいて一年が過ぎましたが、まだまだ読まれてほしいと思っております。この記事からご興味をもっていただいた方は、ぜひお手に取っていただければ幸いです。

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