『悪友』3刷決定!

『悪友』3刷決定!

このたび、第一歌集『悪友』の3刷が決定いたしました! 6月出来予定です。関わってくださった方々、本当にありがとうございます!

原稿依頼を一度も受けたことのない、新人賞にもまるで応募できなかった(長い連作を作ることができなかった)私が、第2回笹井宏之賞を受賞してから、たくさんのご依頼や読者の方々のご感想に励まされ、短歌をよりよい形でここまで続けることができました。

2020年8月に初版が刊行されたとき、コロナの影響で書店は閉まったり営業が短縮されていたりして、先が見えない毎日でした。感染症への対応は変わっていますが、今も根本的なことは解決したわけではありません。そんな日々のどこかで、『悪友』を手にしてくださった方々がいたことを、言葉は間違っているかもしれませんが、心強く思います。

前回の文フリで、短歌の大先輩の方に、「『悪友』はずっと、長いこと色々な人から話題にしてもらっている歌集だと思う。それは発売当初には予想できなかったことで、とてもいいことだよね」と言っていただきました。予想できなかった、ということについて、失礼かもしれないけど、というニュアンスの言葉を添えていただきましたが、私はそれは的を射ていると思いました。

大賞を獲ったときも、漫画のキャラクターにイメージが近いと話題にしていただいたときも、2刷のお知らせをいただいたときですら、私自身が『悪友』が長く読まれ、長く売っていただけることに対して現実ではないような気持ちでいました。

けれど、3刷の報せを受けて、私が持つ野望に対しては、少しずつ実感が湧いてきました。

野望について

短歌の世界はまだ古い考えが残っていますし、原稿料のない依頼もあります。人間関係や労働や勉学との両立に苦しみ、短歌を離れた人間をたくさん見てきました。流行だと取り上げていただけることもありますが、それが現実です。

多くの人に読んでいただけるような努力を、歌の精度を高める以外にも行った場合、白い目で見られるかもしれません。歌人は作家であり、自身の校閲者であり、広報であり、プロデューサーであり、マネージャーです。

私はあらゆる努力をやめません。短歌が注目され、売れることは、新しい読者の方々が短歌の世界に少しずつ新しい風を通してくれるかもしれないからです。短歌がお金になることは、短歌を続ける上で歌人や出版業界の方々の生活をより良くすることだと想像します。

そして変わっていく環境のなかで、より強く、より凄まじい歌が生まれることを、私は信じます。

再度、『悪友』について

『悪友』には、第2笹井宏之賞の大賞をいただいた連作「悪友」や、第31回歌壇賞次席をいただいた連作「生前」のほか、映画や漫画から影響を受けた連作や旅行詠、京大短歌や短歌結社・未來に所属していた頃の歌が収録されています。

ハタ屋さんの装画が素晴らしいので、ぜひ装いから楽しんでいただければと思います。電子版もあります!

これからも『悪友』をよろしくお願いいたします。

今後とも

今月に発売する『現代短歌パスポート1シュガーしらしら号』や、夏頃に発売する第二歌集(2021年に私家版で出した『セーブデータ』の内容を改変して含むものです)、俳人の斉藤志歩さん、柳人の暮田真名さんとのユニットである短詩集団「砕氷船」が考えているイベント、そして他にもたくさんの新しく、面白いことを皆さんにお見せできます。

今後ともご期待ください。