「ねむらない樹」vol.6に『悪友』の書評を寄せていただいています

こんばんは。サイトを持っているのに嬉しいことがあると先にツイートしてしまう癖を直したいです。
「ねむらない樹」vol.6を入手しました。笹井賞の結果発表や特集「黒瀬珂瀾」、現代川柳についての企画も面白い一冊です。まだ読んでいる途中ですが、拙著『悪友』に言及していただいた頁がありましたのでご報告を。

「二〇二〇年の収穫」

146頁からの特集、「二〇二〇年の収穫」 では、土岐友浩さんと水原紫苑さんに『悪友』を挙げていただきました。ありがとうございます。土岐さんはあとがきにも言及してくださっています(148頁)。あとがきには田島悠一郎くんと煉獄杏寿郎さんと仁科カヅキさんが登場します。今まで生きてきたなかで様々な物語やキャラクターに出会っていますが、この三人の名前を選ばせていただいたのは、彼らが僕にとっていつなんどきも魂から分かち難い「光」だからです。圧倒的で、時に人の目を潰すかもしれない眩しさを持つ存在を感じていなければ、僕は歌集を作り出す大変さに打ち克つことができませんでした。何度か話していますが、あとがきが一番時間がかかったので、触れていただけるのは嬉しいことです。土岐さんには、

夢は獏に、葡萄は君に食わせるよほんとうがあるとしたって遠い

などの4首を引いていただきました。ありがとうございました。

お隣の149頁では水原紫苑さんにも『悪友』を挙げていただきました。「わが偏愛の歌集」とまで言っていただけて感無量です。これは本当に僕の歌集にいただいた言葉なのかな……と何度も照合しました。その後もとても嬉しいことを書いていただいているのですが、全文引用してしまうことになるので控えます。水原さんには、

鉢合わせしようよ転生ののちに孔雀と螺子になったときには

をはじめ、5首引用していただきました。ありがとうございました。
あと僕のことではないのですが、この「二〇二〇年の収穫」に川野芽生さんの『Lilith』が多く登場していて、それも嬉しく思いました。

「BOOK REVIEW」

同じく「ねむらない樹」vol.6の「BOOK REVIEW」のコーナーで、川野里子さんに書評をいただきました(178頁)。書評のタイトルは告知ツイートから存じ上げていましたが、「空中給油する言葉」とはどういうことなのだろう? と思っていました。タイトルに関する記述については是非原文を読んでいただきたいです。「緊張感」や「幻肢痛」といった単語、そして「言葉は温かく優しいのに、崖のような拒否が秘められてもいる。世界との関係の結び難さが語られるのだ」といった文にも心が痺れました。ありがとうございました。

書物はこの世に生まれた後、読んでいただけることで何度も生まれ直すことができます。土岐さん、水原さん、川野さん、そして過去に『悪友』について一言でも言葉を寄せてくださった全ての方々が、その再生を寿いでくださったのだと僕は思っています。時に、自分が用意できたものよりも大きすぎる扱いを受けているのではないか、と思うこともあります。嬉しいと思うと同時に怖くもなります。けれど、読んでくださった方々が見た『悪友』は紛れもなく『悪友』であり、もう僕の手を離れた存在です。読者の数だけ生まれ直すその存在を、僕も一緒に祝いたいです。