『悪友』刊行1周年

第一歌集『悪友』の刊行から明日で1周年となります(Amazonに書かれている刊行日と書籍に書いてある刊行日が違いますが、正しいのは8月4日だと思います)。

書肆侃侃房・笹井賞関係の皆様
新聞や総合誌やWebで書評を書いたり引用をしたりしてくださった方々
ご購入いただいたり、図書館に入れてくださった方々
お手紙やメール、またはお電話で感想を伝えてくださった方々
短歌や小説、その他さまざまなもので『悪友』の二次創作をしてくださった方々
周りの人におすすめしてくださったり、プレゼントしてくださった方々
見えないところでよいなぁと表現してくださったり、思ったりしてくださった方々

たくさんの気持ちに支えられて、『悪友』が多くの人の手に届き、読まれてきたことを大変嬉しく思います。僕一人ではどうしようもないことを、あなたが叶えてくださいました。本当にありがとうございます。出てから一年経つ本の新しい感想を、今も目にすることができること、奇跡のように思います。

「失礼かもしれないのですが、表紙を見て買いました」とよく言っていただけるのですが、それはとても嬉しいことです。ハタ屋さんやハタ屋さんの絵は本当にファンが多くて有名ですが、『悪友』の装画になって初めて知った、という人もいらっしゃると思いますし、ハタ屋さんの絵が魅力的であることがまた伝わって、その本が書店やお家の本棚に一冊でも増えたら、僕も嬉しいです。

笹井賞受賞のお電話をいただいたとき、僕は新宿で「ガリーボーイ」という映画を観ていました。インドのミュージカル映画で、貧民街で食らす青年がラップでのしあがっていく過程を描いたものです。主人公は家庭内不和や日々感じる貧富の差に押しつぶされそうになっている日、ラップに出会って自分でも作って歌うようになります。薄暗い家の中で小声でiPhoneに「俺の時代は来てる」とリズムに乗って何度も呟くシーンで、これは僕だと思ったことをはっきり覚えています。今まで受けた様々な差別や嘲笑、侮られてきた記憶の中で僕は何度も短歌を書き直していました。そんな映画の後での受賞のご連絡だったので、正直、できすぎた「物語」だ……怖くなりました。

この状況では歌集批評会もおそらく何年も開けないですし、そもそも授賞式もなくなりました。皆さんから直接感想を聞ける機会はこれから減り続けるのかもしれません。それは寂しいことです。悲しいことです。『悪友』から何かを感じたら、それを誰にも見えないところでも、誰かにでも、伝えてもらえたらとても嬉しいです。僕宛じゃなくても構いません(僕宛だと僕は嬉しいですが)。

物語のために生きてきた方々へ
物語るために生きてきた方々へ
旅を愛している方々へ
恋愛以外の関係を語りたい方々へ
いい短歌を読みたい方々へ

この歌集は捧げられてきました。そして今も。

これからも。よろしくお願いいたします。

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