7首連作「目利き」

7首連作「目利き」

思い出は重い瞼として眼眸まみにかぶさってくる 桜吹雪よ
若葉風の留め具のように白シャツのあなたがしゃがんでた蚤の市
霜月の舞台袖 話したことは覚えているよこれから先は
目利きの人が選んだわたしもまた目利き スノードームの雪やわらかく
欲しいのは泣きやんだとき胸にくるアイシングクッキーのつめたさ
鐘の音がざわめきの奥また響く 両手を延べて、疑わないで
風車かざぐるままわるあいだに良案が浮かんだ……。遠い旅も終わるよ

音声データ

榊原本人が句ごとに・意味のまとまりで2回朗読するデータを作成しました。こちらからご確認いただけます。パスワードは「gs4」です。

ネタバレ

KONAMIさんの恋愛シミレーションゲーム「ときめきメモリアル Girl's Side 4th Heart」、その中のキャラクターである風真玲太かざまりょうたについて歌にしました。

風真は幼稚園から小学校一年生までプレーヤーと共に過ごした幼馴染で、突然イギリスに引っ越すことになり、九年後の高校一年生で再会します。初恋をずっと引きずっている男で、私自身はほとんど中学以前の記憶がないため幼少期の記憶を保持しているだけで人間として相当面白いなと思っていました。あまり過去に囚われているのもどうなんだと心配になるほどでした(どの記憶を支えに生きようが人の勝手だとも思います)。

おじいさんが骨董屋を営んでいたり、お父さんもアンティークのビジネスをしているということで、美術品への造詣も深いキャラクターです。また、物や人に正しい価値がつけられることを望んでいます。過小評価と同様に、過大評価をされることもまたあるべきではない、と考えています。自分のやりたいことのためにしっかり手段(バイトなど)を選んでいるところが好感を持てました。最後の2首は「かざまりょうた」の折句です。

男の子同士のグループの友情があったり、台詞にもかなり新しさを感じるとても面白いゲームでした。クイズ王(本多行くん)が攻略対象にいるなど、「秀才キャラ」や「かっこいい男の子」の像もかなり変わってきたのではないかと思います。歌人のキャラクターがもし今後描かれることがあれば、私がお力添えしたいです。本当に。